大判例

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東京高等裁判所 昭和38年(ネ)1050号 判決

本件取引は商品取引所法第九六条により東京穀物商品取引所の定める受託契約準則が適用されるところ控訴人等は右準則第三条所定の通告をしていないから控訴人正一は本件穀物取引を委託したものでないと主張し、原審証人鎌田雅臣(第一、二回)の証言及び原審における控訴人長谷川正一(第一、二回)の供述を綜合すると被控訴会社の外務員鎌田雅臣は控訴人長谷川正一に対し右準則第三条所定の通告をなすことを求め甲第一号証の通告書を送つて署名捺印を求めたが同控訴人はこれに応じなかつたこと、其の後控訴人長谷川正一と被控訴会社との間で穀物取引がなされるに及んだので被控訴会社は右鎌田雅臣に対し同控訴人から右準則第三条所定の通告をするよう求めたので、鎌田は買い求めた三文判を使用して同控訴人名義の乙第一号証の通告書を作成して被控訴会社に提出したことが認められ右認定を覆す証拠がないから控訴人長谷川正一は前記準則所定の手続をしなかつたものと謂うべきである。しかしながら右準則第三条は将来継続して行わるべき商品取引について通知連絡の方法代理人の権限等を明白ならしめて取引を円滑に行い事故の発生を未然に防止する趣旨であつて訓示的規定と解すべきものであるから委託者が同条所定の通告をしなかつたからといつて当事者間に行われた売買取引の委託の効力に消長を来すものではなく、この点に関する控訴人等の主張は採用できない。

(菊池 川添 花渕)

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